Kさんの「てしかが移住記」が掲載されました!(1)

Kさんのプロフィール

移住前の居住地

東京都

移住年

平成27年

移住記

「なぜ弟子屈に移住を?」

この地に住む前はもちろんのこと、引っ越した後も、多くの人たちから同じように訊かれ続けています。その度に、妻も私も明快な説明ができず途方に暮れてしまうのです。

「なぜ?と問われても・・・、そして“移住”とは?…」

そろそろ1年が経とうとしていますが、この質問はこれから先も続くのでしょうか?

そもそも移住(者)とはいったいどう定義すべきなのでしょうか?

道外から来たから?

都会から逃げ出して来たから?

生まれも育ちも違うところから来たから?

私たち夫婦にとっては殊更のことではないのですが…

この町は自然環境に恵まれ魅力的な観光資源も豊富です。しかし、生活する上での不便さや物足りなさは半端なく、就業世代そして子育て世代の人口が増えてゆくためのプラス要素はなかなか見つけることができません。しかし、どこに住もうと百点満点は有り得ないし、少なくとも私たちがそれを求めてここに住み始めたわけではありません。

私が62歳になったとき、妻ともども会社勤めを中断してオーストラリアとニュージーランドで8か月間暮らしました。私にとっては東京以外の地で生活した最長記録でした。この時期を境に、私たちは人生における三つの時代を、国内外を問わずそれぞれ異なった場所で過ごすことができたらとても心豊かだろうと思うようになりました。

生まれ、そして育った場所
社会の動きと同期して、それなりに活躍する(私の場合は"した”)場所
時流に遅れることなど厭わず、老年期をゆっくり、そして一日でも長く過ごす場所

ふたりの歳が離れているので私は既にリタイア組、片や妻はまだまだ現役で働きたい派です。つまり、各々が生きている時代、感じ方、あるいは求めているものなどが全く同じというわけではないのですが、そろそろ長年住み続けた東京ではない何処かにこれからの生活の場を移すタイミングであろうという思いは見事に合致していたのだと思います。

それでは、何処へ?…と最初は旅行気分であちこち見て回りました。しかし、百点満点を狙っていない自分たちがそんなことを続けていても金と時間を浪費するばかりだと判り長くは続けませんでした。後から思えば、実は早い段階でこの地にしようと決めていたように思います。弟子屈を選んだ理由をいろいろ考えてみるのですが、結局は人との繋がりであり、特に役場の担当諸氏が親身になって応援してくださったことがとても大きかったと思っています。「それが仕事ですから。」と言われてしまうと切ないのですがとても感謝しています。

加えて、妻がこの地で望むような仕事に就けたことも私たちにとってはとても大きな助けになりました。

昨年の冬、ちいさな小学生たちが凍った道をまるで動物の子供が転げ回っているように元気に通学している様子を毎日のように窓越しに見ていました。そう、この子たちは私たちより6年以上も長くこの地で生活し成長している。間違いなく私たちの大先輩であり、今この子たちと競ってもとてもかなわないし、きっと6年経ってもあんなに軽やかに凍った道を歩くことは多分できないだろうなと思いました。しかし、これまでの生活では起こらなかったあんなことやこんなことを否応なく経験しながら歳月を重ね、少しずつ“この地の者”らしさを身につけてゆくことができれば、その内に冒頭の質問を浴びることもなくなるのだろうと、その時の情景を振り返りつつ思っています。移り住んだ以上、この地で暮らしてゆくことそのものがこの地に住む理由かもしれません。

さて、今年の冬はどうなるのやら…

この記事に関するお問い合わせ先

まちづくり政策課 政策調整係

〒088-3292
北海道川上郡弟子屈町中央2丁目3番1号
電話番号:015-482-2913 ファクス:015-482-2696
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更新日:2021年07月14日