摩周湖を守り、水質調査を続けたい!~摩周湖から地球環境の保全へ~

世界有数の透明度を誇る摩周湖

摩周湖は、北海道東部にある阿寒摩周国立公園内に位置し、特別保護地区に指定され、北海道遺産としても最初に登録されています。優れた自然環境はもとより、古くから水源としても周辺住民の生活を支え続ける貴重な湖です。調査目的以外の立ち入りができず、「人が踏み入れることのできない湖」として、周辺3か所の展望台もしくは登山道からしか眺めることができません。

晴れた日の湖面は、藍を流したような独特の青色を見せ、その色合いは「摩周ブルー」と呼ばれ、多くの人々に親しまれています。

1931年に実施された調査では、41.6mという世界一の透明度を観測し、90年近く経過した今でもなお、世界有数の透明度を誇る美しい湖であり、また布施明さんの「霧の摩周湖」で一躍日本中にその名が広がったことも相まって、「神秘の摩周湖」、「霧の摩周湖」のブランドイメージが定着し、年間約50万人が訪れる観光地として今もにぎわっています。
 

摩周湖環境保全連絡協議会の設立

摩周湖は地形の性質上、流れ込む川も流れ出る川も無く、人による汚染の影響が極めて少ないという特殊性から、汚染物質が混入した場合に、すぐにその異変を見つけることができる「自然環境の異変を監視する高感度センサー」として重要な役割を果たしており、毎年水質調査が実施されています。1981年からは、総合的な水質調査を国立研究開発法人 国立環境研究所が開始し、1994年には、国連環境計画(UNEP)等の国際観測機関によって進められているGEMS/Water※の陸水監視システムのベースラインモニタリングステーションに日本の湖で唯一登録されました。
しかし、そのような摩周湖の水質調査も2018年を以って終了することとなりました。そこで、摩周湖の麓とその伏流水の恩恵を受ける周辺流域である5町(清里町、別海町、中標津町、標茶町、弟子屈町)と関係機関が協力し、2019年に「摩周湖環境保全連絡協議会」を設立し、貴重な自然資源である摩周湖や周辺流域の環境を守るとともに、摩周湖の魅力を広く認知・理解して頂き、それぞれの地域の発展に繋げ「摩周湖の守り人」として活動しています。

※GEMS/Waterとは地球環境監視システムの陸水監視部門で、地球全体をカバーする唯一の淡水水質管理プロジェクトです。

摩周湖での水質調査について

調査のため摩周湖岸へ向かう際には、散策道もなく、約200mの高低差がある急斜面であるため、事前に補助となるロープや梯子を設置しなければ降りることができません。
そんな険しい道のりを、重い調査機材を背負って湖岸まで歩いて行く必要があり、危険も伴います。湖岸まで到着した後は、船上での調査となり湖心にて採水や透明度の測定、水質の測定を実施します。

2019年からは「摩周湖環境保全連絡協議会」が主体となり、摩周湖の水質調査や透明度測定を実施しています。

※過去の透明度の推移はこちらからご覧ください⇒摩周湖の透明度推移

透明度については、直径30cm程の白い円盤(透明度板)を水中に沈め、どの深度まで見えるかを測定します。
水質調査については、専用の採水器を用いて、深度毎(0m、10m、20m、30m、40m、50m、100m、200m)に採水を行います。採水したサンプルは、当日中に専門知識を有した分析業者へ手渡され、約30項目の成分量について、1ヶ月程度の時間をかけて分析が行われます。分析された調査結果は、当協議会からGEMS/Waterナショナルセンターへ提出した後にドイツ本部へ送られ、データベース化されます。これらのデータは、国連機関はもとより各国の研究機関へ無償で提供され、学術研究などの基礎データとして幅広く利用されています。

湖岸へ降りていく様子

湖岸への険しい道のり

採水器が湖に沈んでいく様子

採水器

透明度を測定する様子

透明度測定

摩周湖の生い立ち

1万数千年前にできた摩周火山が、約8千年前頃まで盛んに噴火を繰り返し、約7千年前に大規模な噴火が起こった後、摩周湖カルデラという大きなくぼみが形成され、長い時間をかけて徐々に水が溜まり、今の摩周湖より大きな湖が誕生しました。
そして約4千年前に摩周岳が噴火したことで、湖の東側が埋められます。その後、約千年前の大噴火により摩周岳の山頂が破壊されたことで、現在の「摩周湖」の姿となり、以降はその噴火活動を休止しています。
また、摩周湖の中央にひょっこり顔を出しているカムイシュ島も火山です。湖面から見えている部分の高さは約30mに過ぎず、実は高さ約240mの火山の頂上なのです。

摩周湖との優しいふれあいかた

摩周湖は、日本有数の景勝地である一方、国際的な観測地点としても、非常に重要な役割を果たしています。この美しい摩周ブルーを後世に守り残していくため、摩周湖を訪れる際は、次のことを心がけましょう。

・展望台や登山道以外の場所へ立ち入らないようにしましょう!
・植物の採取などをしないようにしましょう!
・ごみは持ち帰りましょう!
・アイドリングストップを行いましょう!

摩周湖環境保全連絡協議会では継続した調査はもちろん、摩周湖の環境保全について、多くの人に知っていただけるよう取組を行っていきます。どうぞ皆様のご理解・ご協力を、よろしくお願いいたします。

 

引用

UNEP GEMS/Water インターナショナルウェブサイト

国立環境研究所 摩周湖長期モニタリング

地方独立行政法人北海道総合研究機構

川湯エコミュージアムセンター
 

この記事に関するお問い合わせ先
環境生活課 環境係

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北海道川上郡弟子屈町中央2丁目3番1号
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更新日:2021年04月20日