摩周湖の透明度推移~2023年は18.13m~

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北海道新聞社許諾D2012-2106-00023135

1917年に初めて摩周湖で透明度の測定が行われてから100年以上が経過し、これまで300回以上、透明度が測定されてきました。透明度は、真っ白な透明度板を沈め、反射する光と湖水のコントラストを人の目で確認し、どの深度まで透明度板が見えるかで測定します。
湖水には、プランクトンや土砂等の粒子が多く浮遊していたり、溶け込んでいる物質が多くあり、これらが光を吸収したり、様々な方向へ錯乱させます。光を吸収したり錯乱させる物質が多くなると、透明度板から反射する光が弱くなり、違う方向から届く光が強くなるため、コントラストが低くなり透明度板が見えなくなってしまうことから、透明度は低くなります。
透明度板の見える深さ、つまり透明度は、水中の物質のわずかな量や性質により変動するのです。

摩周湖では、1931年に過去最⾼の41.6mが記録され、1980年代後半から現在までは平均20〜25m程度でほぼ横ばいに推移しています。過去と比べ、透明度は低下しましたが、透明度20mを超える湖は世界でも少なく、今でも世界有数の透明度を誇る湖として、多くの観光客を魅了しています。

 

摩周湖の透明度が今でも高い理由としては、湖水中の栄養塩濃度が非常に低く、プランクトンの量がとても少ないこと、流入河川からの土壌粒子の流入がないことが要因となっています。
また、月別にみると5月から6月と12月から1月は、湖水が循環し深層の綺麗な水が浮上してくることから、特に透明度が高くなります。それに対して8月から9月の間は透明度が低くなる傾向があり、その主な理由は植物プランクトンが増加し、光を吸収、散乱させてしまうことが考えられます。

2023年は、8月30日に調査を実施し、18.13mという結果となっています。

摩周湖透明度2023

透明度板での測定

透明度板による測定

なお、2016年の透明度平均はおよそ13mとかなり低く、9月2日から9月4日には10m以下という、過去最低の透明度が測定されました。

この原因は8月17日から8月23日にかけて、台風7号、11号、9号と、相次いで台風が上陸したことにより、内壁の崩壊などが起こり、土壌成分が流入し表層に漂っていた影響によるものと考えられています。
 

その後、土壌の粒子が沈むにつれ透明度が徐々に回復し、2017年には平均的な透明度に回復しています。

美しい摩周湖を後世へ守り残すため、摩周湖周辺の5町(清里町、別海町、中標津町、標茶町、弟子屈町)と関係機関において、2019年11月に「摩周湖環境保全連絡協議会」を立ち上げました。摩周湖の環境保全のため、引き続き、皆さまのご理解・ご協力をお願いいたします。

※摩周湖環境保全連絡協議会についての詳細はこちら⇒摩周湖環境保全連絡協議会を設立しました!

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更新日:2023年12月05日