温泉熱利用の歴史
弟子屈町は温泉熱を冬の暖房や道路の雪をとかすことだけでなく、様々な場面で利用しています。今回はその温泉熱利用がどのように始まったのか、歴史を解説します。
町役場の側溝の湯気は何?
弟子屈町に外部の方々が来ると、不思議に思われることがあるそうです。それは役場周辺の側溝からたなびく湯気の煙!多くの人は、この湯気に興味を抱くことが多いのです。結論をあらかじめ述べれば、この湯気は温泉熱を利用した暖房設備なのです。今回は弟子屈町で温泉熱が利用されるようになった経緯をご説明いたします。
1970年代後半から始まった温泉熱の利用
温泉熱暖房は昭52(1977)年10月17日に現在の役場庁舎が建設されたことに伴い採用されました。先代の役場庁舎は昭和51(1976)年6月5日に火事で焼失してしまいました。当時は石油ショックであったため、石油不要のクリーンなエネルギーとして温泉熱暖房の利用が取り入れられたのです。
当時の広報を紐解くと給排水暖房衛生設備工事は7200万円で東亜建設工業株式会社北海道支店が工事を請け負ったと記されています。役場庁舎が完成すると温泉熱暖房は効果を発揮し石油は年に22万リットルも節約できたそうです。町役場の温泉熱暖房が成功すると各種施設でも利用されました。

町役場にある温泉熱暖房

現在の役場庁舎建設時の広報の記事
温泉熱とサスティナブルツーリズム
役場再建から広がった温泉熱利用は自然再生エネルギーとして地域振興にも活用されています。温泉熱を利用して栽培されたイチゴ「摩周ルビー」やマンゴー「摩周湖の夕日」は特産品となりました。またサスティナブルツーリズム(持続可能な観光)としても注目を集めSDGsにも貢献しています。
イチゴ「摩周ルビー」
マンゴー「摩周湖の夕日」
参考文献
更科源藏編『弟子屈町史』弟子屈町役場、1949
『広報てしかが』昭和51年11月号、弟子屈町、1976
弟子屈町史編さん委員会編『弟子屈町史』弟子屈町役場、1981
弟子屈町商工会編『弟子屈町商工のあゆみ』弟子屈町商工会、1981
種市佐改『ポケットとハンドバックの中の摩周の郷ガイド』摩周温泉観光協会・川湯温泉観光協会、1986
弟子屈町編『弟子屈町100年記念「風・人・大地」』弟子屈町、2004
『てしかが町知って得する便利帳』弟子屈町、2020
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弟子屈町教育委員会 社会教育課
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北海道川上郡弟子屈町中央2丁目3番2号
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更新日:2023年09月08日