弟子屈町広報活動指針
1、はじめに
本町の人口は、1965年の13,632人をピークに減少が続き、2018年9月末の住民基本台帳人口では7,286人になり、更に国立社会保障・人口問題研究所の最新の推計では、2040年に4,602人まで減少するとされています。
このような人口減少は全国的な傾向とは言え、これまで本町が何も手を打たずに来たのではありません。本町では、2012年度から10年間の町の最上位計画である第5次弟子屈町総合計画に基づいて、まちの将来像として定めている「水と森と人が共に輝き、活力あふれる自立したまち」を目指して様々な取り組みを行ってきました。更に2015年に策定した「てしかが・まち・ひと・しごと創生戦略」でも「誰もが自慢し、誰もが誇れる、町民が家族のようなまち」をサブテーマにして、人口維持の取り組みを行ってきております。しかし、2018年5月に実施した町民アンケートにおいては、本町が住みやすいか?との問いに対し、「住みやすい」「どちらかといえば住みやすい」の合計が31.8%、「どちらかといえば住みづらい」「住みづらい」の合計は35.0%で、比較すると「住みづらい等」が「住みやすい等」を上回っている状況にあります。
様々な取り組みを実施しているにも関わらず、町民が住みやすい実感を持っていないという状況は、どうして起こるのでしょうか。各施策の方向性や取り組み内容の検証と合わせて、本町の現状を的確に伝え、方向性や周知、実施した状況をわかりやすく示していく広報活動が重要なカギを握っていると思われます。
また、町外に向けて本町の魅力を伝え、多くの人が本町に関心を寄せてもらうためにも広報は非常に重要であります。
近年、若者の活字離れが問題視されています。若者はネット上の情報を中心に情報収集を行っています。一方で、高齢者世代は、ネットよりも活字やテレビからの情報が中心です。これら様々な世代や男女を問わず、「伝わる広報」「情報を共有できる広報」「自分のこととして感じる情報」になるように広く情報発信していかなければなりません。
本指針は、町内の広報活動と広く町外に発信していく広報活動を、町職員が行政運営全般において統一性を持って取り組むように改革し、様々な媒体を活用しながら、新たな視点で広報活動を行うことにより、町民の情報共有と定住人口の増加や知名度向上につなげていくために制定するものです。
用語の説明と定義
1 広報
主に不特定の人々に向けて、これから起こること、これまでに起こったこと、どのようなことを提供しているかを広く知らせる活動。
広報とシティプロモーションの総称(この指針では「広報活動」という)
2 通知
特定の人に向けて、広報と同様の内容を知らせる活動。
3 シティプロモーション
営業活動。行動を起こさせる取り組み。心に刻み込む取り組み。魅力の創造。
4 ブランドマネジメント
広報活動等の基礎となる、まちの方向性や方針。どのような自治体か。どのような価値を提供するのか。シビックプライド(自分自身が関わって地域をよくしようとする、当事者意識に基づく自尊心)やビジョン。
指針を適用する範囲
1 対象
- ア.町内における町民向けの広報活動
- イ.町外に向けての広報活動
- ウ.町内外に向けてのシティプロモーション活動
2 適用の範囲
- ア.町(役場)が実施する行政活動全般
- イ.観光や移住など町外在住者に向けて本町のことを知ってもらう活動
指針を定める目的
- 行政活動における広報活動の定義や体系、重要性の確認
- 行政活動全般で一貫性を持った広報活動の取り組みの提示
- 広報活動実施時の原則と手法の提示
計画期間と見直しの時期
- 2019年1月から適用し、指針廃止手続きをとるまで継続とする。
- 見直しは期間中毎年度10月~11月に行う
- 町広報紙においては、2019年1月発行分から適用
2.情報発信者の共通認識
(1)広報活動の体系と重要性

理想的なコミュニケーションピラミッド
- ア.広報活動は、確固たるブランドマネジメントの上で展開するものである。特に最上位のシティプロモーションは、ブランドマネジメントがしっかりしていないとブレが生じる。ブランドマネジメントと広報の位置づけは町全体の方向性だけではなく、個々の施策にも置き換えられる。
- イ.広報とシティプロモーションは、発信側がピッチャー、受け取る側がバッターで行うバッティング練習にたとえられる。相手にとって適切なスピードとコースを狙って投げないと、空振りや打ち損じ、見逃しが起こる。対決ではなく常にホームランやヒットを打ってもらうことが大事。
- ウ.われわれは、地元にあるものや活動、近い人を過小評価する傾向にある。外側からの評価に過敏に反応し、遠くからの情報を信用する傾向にある。その傾向を払しょくするように努力する。または、その傾向を活用する。
- エ.広報活動においては、手段よりも目的を重視して企画する。(記事を載せることが大事なのではなく、その先の理解や参加が大事)その後、手段を軽視せずに確実に実行すること。
(2)ブランドマネジメント
総合計画・各個別計画・政策方針や決裁などで同意されたものなど行政運営上の基本方針と捉え、町全体・役場・課の各レベルでこれらの推進を徹底することが必要である。この徹底がないと情報発信者によるブレが生じると認識すること。
(3)広報活動
- ア.行政活動を全力で取り組んでいても、その活動を町民が知らなければその活動意味は半減してしまう。広報活動は、行政活動を行う上で必須の活動と認識する。(周知していない)
- イ.広報紙に掲載をしていても、町民がその情報を知らないことも多くある。情報発信側は、「広報紙に掲載している」と考えるが、掲載していても伝わっていないと考えること。(内容がわかりにくい)
- ウ.広報活動は、広報紙のみでなく、その対象者に合わせて、様々な媒体を使うこと。特定の少ない対象者に周知する際には、直接通知で行うなどの対応が必要。1種類だけでなく複数の様々な媒体を組み合わせて使うこと。
(4)シティプロモーション
- ア.本町の魅力を伝える活動であると認識すること。
(5)各活動を実施する部署
- ア.行政活動を行っている部署すべてが広報活動を実施する部署と認識する。
- イ.提供する容量に限りがある媒体は、主管課が情報量をコントロールする。
3.広報活動指針
ア.広報活動案の作成
まずは、適切な広報活動案を企画する。
- 広報する課題と目的は何か
- ターゲットは誰か?
- 伝えるポイントは何か?
- どの媒体を活用するのが有効か?
- いつ広報するか?
- 作文、イラスト、レイアウト等
- 目標を設定する
イ.広報活動の回数
広報は周知、結果と2回以上実施することを基本と考える。
- 周知
- 結果報告(パブリシティの場合は同時に取材依頼も必要)
ウ.利用する媒体
どの媒体を活用するのが有効か検討する。
- 1群-1 広報紙
- 1群-2 ホームページ
- 1群-3 メールマガジン イベント 講習会 説明会 各種刊行物
- 2群【パブリシティ】新聞記事 テレビニュース
- 3群【広告】 有料広告 折り込みチラシ
- これらを補完するSNS(ソーシャルネットワークサービス)
エ.内容
- 対象者に対してわかりやすい言葉や文字などを使う。
- 多すぎず少なすぎない文字数を心掛ける。
4.シティプロモーション(営業活動)指針
弟子屈町の魅力を町内の人、町外の人およびその両方向けに行う広報活動として、町公式ウエブサイトの充実やSNSの活用に加え、新たな視点に立った広報活動が必要となります。社会情勢の変化に伴い、年齢や性別、個々の生活スタイルなどにより求める情報が違ってきます。ウエブサイトなどでターゲットを絞った情報発信をしていくなど、より実効性を持った営業活動を行います。
5.具体的な広報活動
(1)1群-1 町広報紙「てしかが」
ア.発行の目的
- 町民の参加促進
- 町の方向性の提示
- 町民への周知
- 歴史的記録
イ.広報紙の特徴
- 保存性
- 情報の確実性
- 定時性
ウ.対象者
- 町民(自治会を通じた全戸配布を基本)
(町に関心のある町外在住者がホームページで閲覧するなど広報紙を見る場合がありますが、主な読者として対象にしません)
エ.情報掲載者および編集者
各課所管の施策や事務事業に関する記事は、各課が情報掲載者となって、起案から校正完了まで責任を持つこととします。編集者は広報主管課とし、各課から提供された情報や文章、取材によって、紙面の形式に加工して、全体の発行責任を持つこととします。
オ.掲載する内容
- 表紙
- 特集記事
- 行事等の周知
- 結果の報告
- 制度等のお知らせ
- 子ども向け記事
- その他外部記事など
カ.ページ数
読みやすい情報量の広報紙とするため、毎月28ページ程度を基本とします。議会だよりが掲載される月は、合計で32ページ程度とします。
キ.広報紙に折り込むチラシ
行政からの申込書等が掲載されたお知らせのみとします。役場以外の団体が基準以外のチラシを折り込む場合は、応分の負担を求めることも検討します。
ク.外部団体からの記事の掲載
外部団体の記事を掲載する場合は、各団体独自のフォーマットではなく、町の広報紙に合わせたレイアウトとします。
ケ.他の媒体への誘導
広報紙の紙幅には限りがあることから、より詳しい内容を周知する際には、QRコードなどを活用して町の公式ウェブサイトなどに誘導することや制度を説明したチラシを別に配布するなど、広報紙面だけでない広報の手法を検討することとします。
(2)1群-2 ウェブサイト
ア.掲載の目的
- 町民はもとより、町外にも町の状況を正しく伝える。
- 町の魅力を伝える。
イ.特徴
- 即時性
- 検索性(全国、全世界で見ることができる)
- 大量の情報量を掲載することが可能
ウ.対象者
- 町民
- 町に関心のある人
- 町外の人
エ.情報掲載者
- トップページは広報主管課(最新記事を除く)が管理
- 各コンテンツはCMS(コンテンツマネジメントシステム)を活用して、各課担当職員が行う
- 広報主管課は、掲載記事について、定期的にチェックを行い各担当職員に助言等を行う
オ.留意点
- 常に最新の情報を掲載
- 何を知らせたいのか、何を訴えたいのかをはっきりと
- ユーザのサイト内移動を意識する
- ウェブアクセシビリティ、ユーザビリティへの配慮
- 町の情報がすべて入手できるよう広報紙や刊行物データの情報を掲載
- 外国人向けサイトの構築を検討
(3)1群-3 メールマガジン イベント 講習会 説明会 各種刊行物
ア.活用の目的
特定の事業や施策の詳細な周知
イ.活用の効果
対象者と情報を特定してより詳しく周知、体験させることができる。
ウ.対象者
読者や参加者など限られた人が対象(事前周知は不特定多数が対象)
エ.留意点
- 参加者や登録者を増やす。
- 様々な媒体を使って周知する。
- 特にイベントや講習会、説明会は、その目的と効果を意識して実施する。(周知と結果報告が重要)
(4)2群【パブリシティ】新聞記事 テレビニュース
ア.活用の目的
町内外に広く周知する
イ.活用の効果
- 町外に広く周知することができる。
- 町民に誇りの意識を与えることができる。
- 無料で周知できる。
ウ.対象者
- 町内、近隣に支局を持つ新聞社
- 釧路管内に営業拠点を持つ各報道機関
- 札幌に本社を持つテレビ局
- 全国規模の報道機関の本社
- これらの先の読者や視聴者
エ.留意点
- 地域の身近な情報から大きなイベントまで無料で掲載や放送をしてくれる報道機関を上手に活用する。
- 頻繁に情報を掲載してもらうためには、ふだんから情報提供や情報共有の努力を行う。
- 発信者側で「この程度なら」という遠慮をしない。どのような情報が報道向きなのかは担当者によって変わる。
- 担当者の主観により記事の内容や方向性が変わるので、伝えたい趣旨が報道されるように努力する。
オ.手法
- 各課職員から直接情報提供する。(広報主管課はアドバイス等)
- チラシ等の資料を作成してファクスや郵便で情報提供を行う。電話も併用。
- 釧路総合振興局の記者クラブを活用する。(毎月の情報提供)
- 記者を呼び、町長等による記者会見や定時懇談会を実施する。
- 報道機関に企画を持ち込み、取材協力をしつつ掲載放送依頼をする。
(5)3群【広告】有料広告 折り込みチラシ
ア.活用の目的
- 広報で補足できない対象者へ広報を行う。
- 広報等の周知の念押しを行う。
イ.活用の効果
- 情報提供媒体の多様化(広報紙と違う広報機会の創出)
- 情報提供回数の増加(何度も情報を出す)
ウ.デメリット
- 有料である。
- 読者等が限定される。
エ.手法
- 新聞販売店への持ち込み
- 釧路管内の情報誌への依頼
- 全道エリアの情報誌への依頼
- 全国紙等への依頼
(6)4群【広告】有料広告 テレビ ラジオ ウェブ広告
ア.活用の目的
- 広報で補足できない対象者へ広報を行う。
- 広報等の周知の念押しを行う。
イ.活用の効果
- 情報提供媒体の多様化(広報紙と違う広報機会の創出)
- 情報提供回数の増加(何度も情報を出す)
ウ.デメリット
有料である。
エ.手法
- ラジオ
- テレビ広告
- テレビ出演
- ウェブ広告の利用
(7)1~4群を補完するSNS
ア.活用の目的
- 広報活動の補完
- 各媒体の特徴に合わせた読者等への情報提供
イ.活用の効果
- 多くの視聴が期待できるスマートフォンへの情報提供の優位
- 若者層への情報浸透
- 情報の拡散
- 双方向機能の活用(書き込み等)
- 町公式ウェブサイトへの誘導の容易さ
ウ.デメリット
- とんがった情報や不適切な表現などの掲載による炎上等
- 頻繁に情報更新しないと閲覧されない
- 書き込み等を頻繁にチェックする必要がある
エ.活用する媒体
各媒体にはそれぞれ特徴があり、どれをどのように導入するかは今後検討を行います。
- Line(ライン)
- facebook(フェイスブック)
- Twitter(ツイッター)
- Instagram(インスタグラム)
- YouTube(ユーチューブ)
- インターネットを活用したテレビ
オ.運用
SNS活用の運用については、別に規則等を定めることとし、個人情報等に十分配慮して行うものとする。
6 その他
(1)緊急時の広報等
地震や風水害などの緊急時には、正確な情報を発信する必要があります。
現在は、消防から発せられる屋外の拡張器を活用した街頭放送が中心で、これも広報活動と言えます。しかし、悪天候や家屋の防音性能により、聞き取れないとの苦情も寄せられています。より緊急時には車両の巡回による広報車での広報も活用しておりますが、これらの屋外放送をより確実なものにしていくとともに、その他の方法も検討していく必要があります。
スマホを活用したホームページの更新やSNSの活用は、情報インフラとしての役割を担えることから、緊急時の情報発信をする媒体として活用していきます。掲載する情報の更新にあたっては、各課からの情報提供を受けて、主に防災主管課と広報主管課が連携しながら実施します。
また、今後検討する媒体としては、ラジオFM放送、個別情報端末、テレビ放送を使った広報などが挙げられます。
(2)口コミ情報
情報化の発達に伴い、SNSのコミュニティなどによって、情報の伝達が多様化しています。町民誰もが情報提供者となれる時代です。情報の拡散の手法として口コミは無視できないことを認識するとともに、正しい情報が拡散するような努力が必要です。
(3)広報活動と広聴活動
広聴活動は、広報活動のベースになると考えます。「PR(=Public Relations)」は、情報発信者と受け手とが双方向の関係を築くことが重要とされています。 広聴活動により受け手が何を求めているかを把握し、正しく理解できる「伝わる広報」活動を行うためには、広聴活動が重要であり、その活動が日々の苦情などの減少につながります。
(4)ブランドマネジメントの推進
広報活動の目的は、その基礎となるブランドマネジメントの浸透と言えます。このブランドマネジメントを浸透させる活動には、掲載した広報活動と連動したCI(コーポレートアイデンティティ)活動も重要です。このCIはシティプロモーションの重要な核になります。
たとえばCIを基調とした職員共通のフォーマットによる名刺の配布やパワーポイントの共通様式、統一ロゴや看板の設置、タレントや本町ゆかりの有名人を親善大使などとして活用するなどの検討も必要です。
(5)広報委員会の設置
行政の各課の代表者を構成員として、総合計画重点事業の広報戦略の検討や各課事業の情報収集、各課の広報の取りまとめ、広報の具体的手法の検討などを行う広報委員会を設置します。
(6)職員すべてが広報パーソン
町長は町を代表するスポークスマンであり、その発言は非常に重要視されます。また、町議会議員も同様です。しかし、その発言機会には限りがあることから、町職員誰もが広報パーソンであることを意識して、広報活動を実践していく必要があります。
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更新日:2019年10月01日